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激指2vs東大将棋5


  激指2 東大将棋5 戦形
1回戦 先○ 後● 相矢倉。
2回戦 後○ 先● 矢倉崩れ。先手銀冠。
3回戦 先○ 後● 後手陽動振り飛車(四間)。
4回戦 後○ 先● 先手下段飛車から棒銀模様。
5回戦 後○ 先● 後手陽動振り飛車(三間)。
6回戦 先○ 後● 相掛かり。先手3七桂戦法?

1回戦

 中央から動いた東大将棋だったが、△3五歩が指しすぎだったようだ。すぐに▲5六歩から△3六歩と打てないようでは変調(▲4五桂以下飛車交換になりそう。後手玉の方が飛車打ちに弱い)。△3三金から盛り上がるものの、▲2五歩がコンピュータらしい「筋を気にしない」好手で優位に立った。
 待望の△3六歩を打ったものの陣形はバラバラ。激指は▲1八角でうまくその不備をとがめる。更にじっくりと陣形を固める▲8八玉、▲5三銀から▲6二銀のただ捨てなど、硬軟織り交ぜた激指の指し手は冴え、そのまま107手で押し切った。

 最後、激指は▲4三桂で詰み宣言。バグだと思うが、これはアップデートパッチで直っていると思う(詰み判定を修正、という項目があった)。



2回戦

 初手▲5八金右から変則的な矢倉に組む東大将棋に対して、△6三金と手厚い陣形に組む激指。対照的な指し口だ。
 銀冠に構えたあと中央に飛車を転じて攻める東大将棋だが、激指は的確に受ける。飛車を打ち込んで駒得すると、東大の突撃をかわしていった。一時は「逆転か!?」というほどの追い込みを見せた東大将棋だったが、△5二玉〜△6三玉と早逃げした手がすばらしく、あと一歩及ばなかった。
 激指は本譜のような玉の捌きが非常にうまいという印象を受ける。



3回戦

 東大将棋が陽動振り飛車を見せる。激指は4筋から攻め、東大将棋は2筋に飛車を回る展開。▲2八歩と受けさせたところでは東大将棋が一本取った形だが、そのあとの△5一金から△4一金はどうだろう。「利きのないマス目を作らない」といういかにも将棋ソフトっぽい指し方だが、これは問題だったと思う。普通に△8二玉から△7二銀(金)、あるいは△5一金のあとに△6二銀と引いて固めてもよかったと思う。
 その後の飛車切りから▲8二角という構想も素晴らしく、このあたりで激指が有利になったと思う。▲6四銀の好手などもあり、粘る東大将棋を振り切った。

111手目 ▲4二飛ではまだまだだと思っていた局面が実は圧倒的不利だということに気付ましたが時既に遅く、そのまま一気に寄せられてしまいました。

東大将棋、読み甘すぎ(笑)。激指はちゃんと△4四同玉以下を読んでいる。



4回戦

 東大将棋が▲2八飛の下段飛車から棒銀風に銀を繰り出す作戦を取る。これは棒銀で攻めつぶすというより、△3三角や△3三桂を強要して体制勝ちを狙う作戦だ。
 途中までは順調だったと思うが、組みあがってみればいつの間にか激指も十分な陣形に。個人的には、▲4六角で▲4六歩から1歩持っておく筋を見せた方がよりよかったと思う。2歩あれば▲1五歩からの攻めもあることだし。

 東大将棋の▲1七桂から▲2五形もいい感じの攻めなのだが、この場合はどうだったか。△6六桂が厳しすぎた。更に、端攻めの△9七歩に挨拶をしなかったため、△9五香〜△9一飛で端を破られるのが確定してしまった。少し長い読みになるとはいえ、この危険は察知して欲しかった。
 このあと東大将棋は慌てて1筋を攻め、▲2三金〜▲3三金では「もしや!?」という感はあったのだが、一歩届かなかった。



5回戦

 東大将棋がまた陽動振り飛車。ただし今度は△3五歩と位を取っているので、やや攻めっ気が強い。
 △7二銀まで、十分に組み上げた東大将棋だか、先手の激指が▲9八香から穴熊に組み替えたのも驚いた。今のソフトはここまで対応できるのか。

 ビッグ4−7七銀という十分な形にまで存分に固めてから、激指は攻めに出る。▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲3六歩△同歩▲1五香△2五歩(△同香は▲3五歩△同銀▲同銀△同角▲3六飛)▲3五歩△2四飛▲3六飛。流れるような手順だ。
 その後も細かい応酬のあと飛車交換、そして飛車を打ち合ったところが最大の山場だった。
 93手目、激指は▲4六角。対して東大将棋は△7三金打。人間なら形で△7三銀と打ちそうなものだが、東大将棋はこの方が玉が固いと判断したのだろう。
 そして、激指は▲5七桂打。
 強い。手筋を知っていて、なおかつ先を見通せないと指せない一手だと思う。
 本譜は△4七銀成と催促したため。先に▲7三角成と切って、△同玉(△同金は▲8一金がある。ちなみに形を重んじる△7三銀ならこの手は生じない)に▲6五桂△6四玉▲6九香で一気に決まってしまった。角が2六に「落ちている」状態なので、角を取って▲4二角など攻めには困らない。
 そのまま寄せ切って激指快勝。



6回戦

 同じ相掛かりのスタートから、今度は東大将棋が浮き飛車、3七桂戦法の構えを取る。対して激指は△3三金と全面的に受ける構え。これを見て、東大将棋は▲2九飛とゆっくりした流れに切り替える。
 戦端を開いたのは激指。△7五歩▲同歩△7六歩▲8八銀△8五飛。指し手の善悪はともかく、この積極性は買える。これに対し東大将棋は▲6六歩△同銀▲6七歩△7五銀▲7四歩とこれまた見事な切り返し。1歩損ながらと金を作った。東大将棋満足の分れだと思う。
 しかしこのあとの大局観が間違っていた(と、思う)。
 跳ねた桂馬を取り切ろうと▲6九飛と回ったのはいいのだが、△5一角とと金に当てた手に対して▲7二とと逃げてしまった。ここは断固▲6六歩として方針を貫くべきだった。本譜は一手空いたので△8六歩とされ、これを取れないのでは辛すぎる。ちなみに▲8六同歩だと、△同銀▲8七歩△7七歩成▲同桂△同桂成の時に取る駒がない(▲同銀は△8七銀成。▲同金は△同銀成▲同銀△8七飛成)。
 ここからは激指の快調な攻めが続く。特に5二の金を取らせてもその間に端歩を伸ばしていくという発想は凄いと思う。最強のソフトという感じがした。



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