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激指3vsAI将棋2004


1回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指の先手。AI将棋のゴキゲン中飛車に、激指は超急戦を選択せず、そのまま駒組に。22手目△5五歩から定跡から外れた。
 AI将棋は左金を5一〜6二と寄せ、玉を固める。一方の激指も矢倉風の構え。銀を6八のまま止めているのは中央への厚みを考えてのことだろう。

 AI将棋の△9二玉に▲9五歩と仕掛けて局面が動いた。
 少し無理気味にも映るが、▲4一角を見せ手に桂頭を攻めたのが激指の読み筋だった。香を損するのが確定するのでやりづらい変化ではあるけれども、この積極性が激指3の最大の特徴である。
 指し手はどんどん過激になる。いくら▲5三歩と叩く手があるとはいえ、飛車がいる5筋の歩を突き捨てるとは驚きだ。確かにこれで▲4五銀には△同銀の一手となるが、それにしても怖い。
 ここでAI将棋は△9四歩と指した。▲2四歩にも相手をせずまっしぐらに9筋の歩を突き、▲9八歩に△8二玉と玉形を整える。心憎い呼吸で、この辺りから徐々にAI将棋が指しやすくなっていったようだ。

 ▲1二とと香を補充した激指に、△6九角から△7六香のコンビネーションか突き刺さった。▲同金の一手にバッサリ角を切って△5七歩成。端が詰まっている関係もあり、こちら側からの攻めが自動的に左右挟撃になる。
 飛車取りを放置して△6七銀が当然ながら鋭い。▲7九香と受けたがこれが受けになっていない。△7六銀成から即詰みとなった。
 AI将棋、旧タイプながら、まずは華麗に1勝。


2回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指の先手。AI将棋の四間飛車に激指は▲5七銀左の急戦。しかし、AI将棋が△3二金〜△5二銀〜△4三金と変化したので、一転して固め合いになった。
 △4三金で定跡からは離れた。ちなみに定跡では、△4三金で△1四歩とし、以下▲4八飛△4三金▲2六銀△3二飛とどうみても実戦としか思えない手順が70手まで続く。

「落とし穴方式」の賜物か、綺麗なダイヤモンド美濃に囲ったAI将棋。十分な体勢だ。しかし、△4五歩▲4八飛△4六歩▲同銀△6五歩という仕掛けの組み立てはどうだったか。△4五歩▲4八飛△6五歩、あるいは単に△6五歩の方が、3七の銀を働かせない展開でよかったように思う。もっとも、本譜の展開も角のにらみが強烈なので指せているとは思うが。逆に言うと、激指はもっと早く角筋を指せる努力をすべきだろう。

 有利に見えたAIが怪しくなり始めたのは△3八角あたりからだろうか。玉が固いのだから、△2七角くらいでゆっくり指していけば十分だった。△3八角に▲4八歩が粘っこい好手で、AIは二枚飛車の形をなかなか作れない。香を取って△4三香は飛車を捌こうという手だが、▲8四香の反撃が強烈だった。
 ▲8四香に本譜の△7三玉は論外として、△8三銀打くらいでもまだ粘れそうに思える。しかし、▲同香成△同銀▲7七桂となってみると、受けが意外なほど難しい。▲8四香の局面では既に逆転していたのだろう。△4三香で△4九龍だったらまだまだ難しい戦いだったと思われる。
 苦しいながらも粘る▲4八歩が印象に残った。


3回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指の先手。AIの8五飛戦法模様に、激指は山崎流3連打の歩で対抗。こういう将棋は力よりまず知識で決まってしまう面があるので、古いAI将棋には不利な展開と言える。実戦は△3四歩で定跡から離れた。

 △1四金から△2五金、△2六歩と玉頭から攻め込んだAIだったが、▲3七銀、▲5九角という受けがもったいないようでもしっかりしていた。△3六歩に▲2六銀△2四金と押し返す格好になっては激指有利である。
 金銀交換して△2六銀はどうだったか。▲3四歩から、桂を奪って▲8四桂で飛車殺し、という手がまともに入った。この陣形で飛車を取られてはもたないのでAIは△9五角と受けたが、駒の働き、玉形ともに違いすぎる。
 AI将棋はそれでも△2六銀から攻め続ける。しかし、▲1五角でしびれた。普通に△2四金合は▲4五桂で詰んでしまう。△2四桂合で詰みはないが、▲3四銀としばって綺麗な必死。見事なものである。

 激指、これで2連勝。


4回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指が先手。AIの四間飛車に、激指は右四間。しかし、▲4七銀△8二玉で定跡から外れるとはどういうことだおい(笑)。もう少しましな定跡ファイルにしてくれ。▲6六角、▲7五角などは目を覆いたくなるような手だ。
 ▲6六歩に△8四歩が意欲的な手。確かにこれで手得にはなるが、しかし、▲5六銀から▲6七銀とぶつけられて△同銀成の一手では、その得も飛んでしまう。AIの玉形が乱れただけに終わって、激指が一歩リードした。

 △2七銀と寝技に行くAIに、激指は▲4五歩から▲2五桂と攻撃。更に▲4三銀と打ち込んだあたりでは一方的で、このまま終わってしまうのではないかとすら思えた。
 しかし、△4二歩とじっと受け、交換した銀を3八に打ってみると、意外とこれが勝負形になっている。次の攻めが難しいのだ。激指は▲1六歩△2六角と角筋をそらしてからと金を作ったが、今度は5三、6二に利きが生じた。▲2七歩とまたまた角筋をそらしたものの、△3七角成で今度は6四に利きができて角が使えない。△5二銀が手数を稼ぐ好手で、△5八とと喰いついて混戦になった。

 ▲6二銀の攻めに△同金としたのがまずかった。
 激指は△同金で△7五香なら後手優勢と判断しているが、それは普通に▲7一銀不成△同金▲6二金で後手勝てない。△7五香は駒得に目がくらんだ悪手だ。
 ここは△4一飛とわざと取られるのが好手だと思う。▲同と△6二金はほぼ必然だが、玉の安全度がさっきまでとは大差だ。このあと△7五香なり、攻防に△6五歩としてもいいだろう。
 また、▲6五歩(香を取って▲8四香&角を捌く狙い)には強く△4七飛成とする手があった。▲1一角成には△8三銀と打って頑張るのである。二度も勝負手を逃してしまっては、勝てる将棋も勝てない。
 最後は▲6六角から角を犠牲にと金を作り、▲7七桂と増援を送って攻めが切れなくなった。


5回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指が先手。矢倉模様から激指が中飛車に変化し、乱戦となった。13手目△4四銀で定跡から外れる。
 AIは素早く△4二角として飛車先を交換したが、居玉のままなので反動が厳しい。▲2二角で銀を下がらせてから▲5五歩で反撃である。

 ここでAIは狙いの△6九角を放ったが、少し早かったかもしれない。全部言いなりになって▲4八銀となった時、取り込んだ5四歩がピカピカに光っているからだ。▲5五歩△同歩▲4六銀△6九角、という展開であれば、拠点はないし▲4八銀と玉を固める手もない。もっとも、その展開であれば▲4六銀とは出ないだろうが、だとしても本譜よりは明らかに得である。
 △7九飛がどうだったか。△8九飛としておけば本譜の展開はなく、もう少しゆっくりした流れになっただろう。△8二同金も負けを早めた。単に△6九桂成と成っておいた方がだいぶアヤがある。例えば▲9一角成は△5九成桂▲4八金△3九銀▲同玉△5八成桂▲4九香△4八成桂▲同玉△5七歩でまだまだやる気は残る。▲4八銀と逃げるのも△7八飛成で、この瞬間持駒が飛角しかない先手は受けが難しい。
 本譜の展開は全く勝ち味がない。飛車打ちからと金を擦り寄っていくだけでAI玉は寄ってしまった。


6回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指が先手。相矢倉となった。▲7九玉△6四銀で定跡とはお別れ。
 △5三角としてから△7五歩▲同歩△同角と歩交換をしたり、▲4六角に△7三歩と打ってしまうなど、AI将棋は矢倉が判っていない感じだ。一方の激指は、端も詰めて銀も捌き万全の体制。序盤の指し手争いで既に優位に立っている。

 △4五銀からはAIの寝技である。銀は手放したが、歩得をしてかつ右辺は大駒だけで手薄。ここをうまく衝いて入玉……ともなれば勝機は見える。
 しかし、▲7六歩に△2七銀成が元気がよすぎた。寝技に行っているのであれば、ここはじっと角を引いておくべきだろう。それならまだまだ「やや指しにくい」という程度で熱戦が続いたと思う。
 ▲3二飛成と切って▲6一角が意外なほど厳しかった。金駒でもあればまだしもだが、持駒飛角ではどうしようもない。△4一飛とここに手放すようでは勝機はない。
 ▲4三銀成と喰いついて、あとは飛車を奪って打つだけという判りやすい寄せとなった。

 激指はこれで5連勝。内容的にも圧倒している感じだ。


7回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指が先手。AIの四間飛車穴熊に、激指は棒銀。25手目の▲3五歩に△4三銀で定跡から離れた。
 △4三銀では△4五歩、少し進んで▲7七角にもやはり△4五歩ととにかく捌いていくのが穴熊の将棋だと思うのだが、AIの指し手は伸びない。△1五角、△1二飛など弱気な手ばかりが目立ち、あっという間に形勢を損ねてしまった。

 いくら穴熊とはいえ、ここまで駒損してかつ駒の効率が悪くては勝負にならない。▲5二飛成以下、あっという間に穴熊は丸裸にされてしまった。
 AIが勝手に自分で転んだような、不出来な将棋だった。


8回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指が先手。8五飛戦法になった。
 △6二銀に▲8七歩△8五飛▲5六飛といきなり飛車を回る激しい将棋。情けない話だが、この形での飛車回りは初めて見た。△8八角成で定跡からは離れる。

 落とし穴方式のためか、AIは△7二金とこちらに金を上がり△5二玉と中住まい。対する激指は矢倉風に▲7九玉としたが、この瞬間の△7四角が鋭かった。
 普通に▲4八銀では△5六角▲同歩△4九飛で困る。▲6八玉は苦肉の策で、これで受かったように見える。実際、△4九飛と打ち込んでもこの飛車は死んでいる。
 しかし、△4九金から△2七歩がゆっくりだが厳しい攻めだった。整然とした後手陣に飛車の打ち場所はない。よって、自陣の飛車を成り込むことができれば、それだけで形勢をよくすることができる。
 この攻めに対する激指の反応が面白い。▲3九同銀と飛車を取った辺りでは先手有利で、しばらくずっとそれが続いていた。しかし、気づくと▲2二角成と切って攻めるよりなくなっている。イモ攻めに弱い激指の特徴が出てしまった。

 △4二玉で飛車を殺し、自玉は安全。あとはゆっくり駒をはがしていけば楽に勝てる、という将棋である。
 ところが、激指の▲5五銀で、AIは突如投了。
「木偶の坊」のミスかとも思ったが、確かにAI将棋の画面ではAI側が投了している。プログラム的になにかあったのだろうか?
 ちなみに投了図では、龍が逃げればそれで後手勝勢。▲5四歩が少しだけ嫌味なので、△8四龍と逃げておけば間違いないだろう(▲5四歩は△8六龍で詰み)。
 なんとも不可解な幕切れとなった。数字上は激指勝ちとしているが、逆の星と考えてた方がいいだろう。


9回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指の先手。再び横歩取りになった。▲7七桂に△7四歩と強情な態度とったため、▲8五歩以下大乱戦に。AI将棋の△2四歩という不思議な一手で定跡からは離れた。

 中段に飛車を打って駒得というのはいかにもコンピュータらしい手だが、どうなのだろうか? 激指も後手有利と考えているらしい。人間の目で見ると、桂得でも飛車をこんなところに打ってしまうのでは割に合わないと思ってしまうのだが。
 △8六桂から△4四角と激しく攻めておきながら△5四歩という展開もコンピュータらしい指し回しで、長期的な展望ができる人間だったら、こういう展開になることが読めたらこの展開にはしないだろう。しかし、この手渡しで激指は「玉を固めるべきだ」と読み▲4九玉から▲3九玉。そのために△6八角成からの攻めが生じたのだから面白い。

 △4九金は重たいようでも好手だと思う。▲5七銀と逃げられてバカみたいに見え、だから△5八金と打ちたくなるかもしれないが、それは▲3九銀と引かれて困る。△4九金、△3九金としても後の狙いがない。3九には銀を打つのが早い攻めだ。
 激指の▲1八玉も地味な好手。△5八龍▲2七玉で意味がないようだが、後の△2九龍を消している。両者ともにそうだが、終盤の「読みが支配する局面」では、形に囚われない好手を指せる。
 しかし次の△4八銀成はいただけない。△4八金としておけば、▲2八金がない分だけ明快だった。

 前局に続き、AI将棋はここで早すぎる投了。△5七龍とすれば、▲8四角には△8三銀、▲3五角には△4七龍でまだまだ粘れると思うのだが、なにか先手にうまい寄せでもあるのだろうか?
 とにかく、これで激指は8連勝。一方的なスコアとなった。


10回戦  棋譜はこちら(別窓で開きます)

 激指の先手。▲7六歩△3四歩▲6六歩△6四歩という挑発的な出だしから、四間飛車vs右四間飛車になった。13手目▲3八玉までで定跡から離れた。しかし△7四銀も変わっている。

 ▲5六銀にAIはスキありとみて△8五銀。しかしさすがにこれは無謀だ。普通に▲6七銀と戻られて思わしい攻めがない(△7四銀の千日手狙いはあったかも(笑))。△6三金と出るようでは失敗だろう。
 しかし、▲4五歩に△9五銀と出たのが機敏で、▲6五歩△8六銀、更に△6六歩▲同飛△7五銀と、ギリギリで銀を捌いた。もっとも、公平に見れば激指有利の分かれで、▲2六桂から▲3四桂とここに手がついては先手勝勢だろう。
 以下、端を破ってから▲4三歩成で後手玉はほぼ必死。激指も「△1六桂以下玉砕はあるものの先手勝ち」と読んでいる。

 ところが、AI将棋は△3八角成。
 こっちから玉砕かと思いきや、▲同玉△4六桂となってみると、なんと先手玉は即詰み。綺麗な頓死である。ちなみに、△3八角成に▲1七玉は△1五飛以下。△4六桂に▲4七玉は△3八銀で、3五、5五のどちらに逃げても上から1枚捨てて△2四銀お△6四銀という手がある。
 最終戦は劇的な頓死での幕切れとなった。



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