コンピュータ将棋レビュー
第3回コンピュータ将棋学生選手権
AI将棋−TACOSはなんとAi将棋の力戦中飛車。▲5八飛▲5六歩の出だしは、縁台将棋のおっさんのようである(笑)。
以下角交換をしてから駒組み合戦となるが、33手目の▲5八金が工夫の入った一手だった。本譜、TACOSはスキありとみて△6五角を決行したのだが、冷静に▲6六歩と突かれてみると△8七角成には▲8八歩△7八馬▲6八金がある。結果的にただ角を打っただけで終わってしまった。
しかし、そこからのTACOSは意外と(失礼)筋がよく、悪いながらも最善の粘りを見せる。このままいけば名局が見られたと思うのだが、どうしたことか突如自陣を崩し始め、そのまま散ってしまった。残念。
礒部将棋−大槻将棋は大槻将棋の三間飛車に礒部将棋が急戦で対抗した。
銀交換を誘って△3九銀と打ち込んだところでは振り飛車が指せるかと思ったが、大槻将棋は何を考えたのか▲1八飛に△4八銀不成と指してしまう。普通に△4八銀成としておけば、5八の金に当たっていて先手が取れたのだけれど……。
ここからは礒部将棋が素晴らしい指し回しを見せて快勝。特に最後の▲7六金は、とにかく玉を逃がさないという意志を感じる一手だった。
うさぴょん−Sexy-AIはSexy-AIの中飛車。うまく立ち回ったと思うのだが、△6八角に▲5四角成が方向を誤った。素直に▲6九飛で優勢だったと思う。▲6三角から▲8五歩など、指し手に光るものがあっただけに惜しい。振り飛車を指させるために「飛角交換を恐れない」思考にさせたのかもしれないが、だとするとちょっと改良の余地があると思う。特に中飛車は飛車交換の筋があまりないし(中飛車に限っては、居飛車の方が玉が固いということが多々ある。ましてツノ銀だとなおさらそうなる)。
永吉将棋−SPEARは相居飛車。▲7六歩△8四歩▲5八金右は永吉将棋の定跡のようだが、△8五歩▲7七角以下飛車が8四−7四と移動してみると角頭を守る駒がない。そのまま1歩損となってしまった。
そのあといい感じで駒を盛り上げていったので永吉将棋もまだまだこれから……と思ったのだが、さすがに角をダイレクトに成らせるのは元気がよすぎた。飛車が僻地に追いやられ、攻め込んだ端も逆に食い破られてしまい、そのまま負けてしまった。
AI将棋と礒部将棋が4連勝。それを1敗のうさぴょんが追っていく展開となっている。星勘定としては苦しいうさぴょんだが、このすぐ後に礒部将棋、AI将棋と対戦する。2連発が入れば一気に逆転もありえる。そういう意味では、礒部将棋にとっても次のうさぴょん戦は「生き残りゲーム」最後の一戦となる。
SPEAR、TACOSの両ソフトはともに2−2。チャンスは全くないわけではないが、かなり苦しい。全勝との直接対決を残しているSPEARの方が希望はあるが、絶望を味わわなくて済むTACOSの方が星勘定的には有利かもしれない(笑)。
下位3チームはあとは一発を狙っていこう。特にここまで全敗の2ソフトは、そのあと下位同士での星のつぶし合いとなる。うまくいけば3勝も夢ではない。